シックハウスの現状と背景
シックハウスの現状と背景
【無断転載を禁じます】
シックハウスの現状
□2003年7月より建築基準法による規制は
○「ホルムアルデヒド」を含む内装建材の使用量制限
○24時間換気システムの義務化 換気回数0.5回/Hの確保
○白あり駆除剤「クロルピリホス」の使用禁止
・しかし建築現場の実情は
建築基準法による規制の間違った理解
○ホルムアルデヒドを含む建材にラベリングが義務づけ
ホルムアルデヒドの発散速度により4つに等級区分
F☆☆☆☆ 〜F☆の区分
F☆☆☆☆ は内装への使用量は無制限
これが誤解されている
・規制されたのは、数多い揮発性化学物質の中でも
「ホルムアルデヒド」と「クロルピリホス」の2種類のみ
・F☆☆☆☆ でも微量(5μg/以下)だが
ホルムアルデヒドは揮発している
F☆☆☆☆ であればシックハウス対策は総てが万全との勘違い ・・・「大丈夫です」が簡単に言われる
□「シックハウス」の現状
法的のしばりによる建材対応ホルムアルデヒド対策は進んだ
しかし??
○「シックハウス」の事例ー1
・新築の集合住宅に入居したが何かが臭う
・測定しても何も出ていない
・臭いの正体は不明
・測定結果は
物質名 測定値 指針値
ホルムアルデヒド 0.01ppm (0.08ppm)
アセトアルデヒド < 0.01ppm (0.03ppm)
トルエン < 0.01ppm (0.07ppm)
エチルベンゼン < 0.01ppm (0.20ppm)
スチレン < 0.01ppm (0.05ppm)
・すべての測定値は指針値以下である
しかし何かが臭う。臭う原因物質(化学物質)は
指針値が国から出されている化学物質以外のものと推測される
○「シックハウス」の事例ー2
・新築の集合住宅を購入
・引渡し前に1時間ほどいて体調不良に
・家具、建具、畳から臭う
・発生源を調査し、結果として造り付家具を全部除去
新たに無垢材でつくりなおす
○「シックハウス」の事例ー3
・おしゃれなデザイナーズリフォーム
・アレルギーがあり「シックハウス」も注意してと頼んだ。
大丈夫と言われてた。
・家具の塗装直後に入居。その日から意識がもうろうとしている。
・隣家の畑の農薬も影響か?
・原因は幾つかありすべてが明らかにはなっていない。
リフォーム前に古い木造部分に白アリ駆除をしている、
この薬剤の影響が大きい推測される。
一度「シックハウス」になると原因追及と対策がむつかしくなってきた
○シックハウス関連の相談傾向
住宅紛争処理センターの報告より
・相談件数は増加傾向
・シックハウス(SH)関連相談は減少傾向
・相談内容
事象別では 異臭が多い(シックハウス相談の65%)
部位別では 内壁(同35%)
床 (同28%)
構造別では 木造(63% )
コンクリート造(28%)
・契機(きっかけ)別では
戸建 マンションを合わせると 新築が多いが・・・
2004年度
新築 31% 改修 25% 賃貸入居 21%
2005年度
新築 26% 改修 31% 賃貸入居 20%
改修・リフォームが増加している
「シックハウス」の結果
・住むところがない ・住むところを失う ・住み続けるために経済負担増
公的な緊急避難施設が必要
□シックハウスをどうみるか
○「シックハウス」は戦後日本の「ひずみ」の現れ
高度経済成長のマインドは「大量生産・大量消費」
その結果住まいに求めたものは
早く ・・・効率性
安く ・・・経済性
きれいに ・・・均一性
マインドに入らなかったもの ・・・「安全性・健康性」
これが生活全般におよぶ複合的な背景
○「つくり方」と「すまい方」にギャップ
「住まいのつくり」・・・急速な変化
「くらし方・生活習慣」・・・意識変化はゆるやか
・住まいのつくり方など生活全般にわたる急速で
複合的な変化に「人の意識」も「身体」も
ついていけず「ひずみ」が表れた
・そして弱いところにその犠牲が表れた
その一つに「住環境」が原因の「身体の不調」
これがシックハウスの本質的な背景
□健康的な暮らし方
○社会生活、くらし方、すまい方 と
住まいのつくり方 の両面から必要
○生活者自身が、自らの住まい方をコントロールできるように
住まいがつくられていること。
□シックハウス誰が解決するのか
○まずは「住まいのつくり手・専門家の側」が変わらなければ改善しない
住まい手は体調不良・病気になって初めて問題に気がつく
○きれい好きもほとほどに!
しかし「住み手の側」も化学日用品にたよる生活スタイル
お手軽生活からの脱却が必要
○住まいの中で殺虫剤、防虫剤、芳香剤など化学物質の
無差別使用や誤った使い方が余りにも多い
自らが何とかするという姿勢がもっとも確実で手身近な防ぐ方法